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秋田県民謡界の現状と今後の課題
県民謡協会事務局長 (小野敏実都)

秋田県民謡協会は,昭和55年12月 県内の三ッの民謡連合会が結集して設立されたもので,その目的は「民謡を正しく保存・伝承すると共に広く普及活動を行い,民謡文化の振興・発展に寄与し,もって会員相互の親睦と技能向上を図る」としております。
現在この三連合会は(財)日本民謡協会秋田県連合会(25支部 約800名),日本郷土民謡協会秋田地区連合会(28支部 約700名),そして秋田県民謡同好会連合会(89団体 約1,200名),合計142団体 約2,700名の登録会員であります。

つい先日までは,楽しいから,難儀したから,今日の仕事が終わったからと理由を付けて酒盛りをし,どんな酒の席でも民謡を歌い囃されたものでした。
民謡は生活の中で生きており,民謡を知らない者は居なかったくらい,民謡愛好者も多く盛んであった事は言うまでもありません。
民謡は私たちの生活の中で生まれ,謡い育まれてきました,先人のこうした功績のお陰で,秋田県には他県には比類のない数多くの民謡が残されており,全国的にも民謡の宝庫として知られ,また中央で開催される全国民謡大会においてはこの秋田民謡を唄い上げ,民謡日本一に輝いた唄い手を多く育て上げ,「民謡王国秋田」の名を高めている事は自他共に認めるところであります。

しかし,最近民謡愛好者の高齢化に伴い,民謡を聴く機会が少なくなり,比例して民謡愛好者の人口が減少し,このままでは先祖が遺した貴重な民謡文化遺産が低落する心配が生じつつあります。
秋田県民謡協会は設立の目的を達成するため,いろいろな事業に取り組んでおり,民謡愛好者の底辺拡大を模索しているのが現状であります。

その一つには,まず 民謡協会自からの技術向上と秋田民謡の統一を図るため,平成元年より「秋田県民謡公認指導者資格認定制度」を取り入れ,民謡指導者の資格認定試験を行って来ました。
また年1回の民謡指導者研修会および一般民謡研修会を開催し,各派閥を超えた相互研修をも実施しております。

平成12年度から改訂になり,14年度から導入が決定している,学校の新学習指導要領に基づく「総合的な学習の時間に,ふるさと教育を導入(総合学習)」についても,協会では,ぜひ民謡を取り入れてもらうべく県教育庁への請願をしていますが,(財)日民本部でも統一した教育資料の作成にかかっており,今後この動きが出てくるものと思われます。
秋田県内でも少数ではあるが,小・中学校や高校のクラブ活動において地元民謡の導入を図り,各地区の民謡大会への参加や全国高校民謡連盟での活躍をしている学校もおり,秋田大学教育学部や県総合教育センターでも,指導者(先生方)への研修を本格的に導入してきております。
県民謡協会としても底辺拡大のため,これらの事業を大いに奨励・協力し,後継者育成に努める事が急務と感じます。

秋田県内には,各市町村や商工会が主催となり,古くから地元に伝わる伝統民謡の全国大会を開催しており,県内・外からの出場者も年々増加してきております。

   曲   目       開催地 (12年度の回数 )
・ 本 荘 追 分 全国大会 = 本 荘 市  ( 第17回 )
・ 生 保 内 節 全国大会 = 田沢湖町  ( 第15回 )
・ 秋 田 船 方 節 全国大会 = 男 鹿 市 ( 第13回 )
・ 秋田 おばこ 節 全国大会 = 大 曲 市  ( 第12回 )
・ 秋 田 追 分 全国大会 = 五城目町  ( 第11回 )
・ 民 謡 長者の山 全国大会 = 中 仙 町 ( 第10回 )
・ 秋 田 長 持 唄 全国大会 = 雄 和 町  ( 第 6 回 )
・ 秋 田 おはら節 全国大会 = 太 田 町 ( 第 5 回 )
・ 秋 田 草 刈 唄 全国大会 = 仁賀保町 ( 第 5 回 )
・ 秋 田 馬 子 唄 全国大会 = 大 内 町  ( 第 4 回 )
・ 秋 田 港 の 唄 全国大会 = 秋 田 市  ( 第 7 回 )
・ 鹿 角 民 謡 全国大会 = 鹿 角 市  ( 第 8 回 )

各連合会が主催する民謡大会では
・ 秋 田 県 民 謡 協 会 = 秋田県民謡王座決定戦・少年少女民謡大会
・ (財) 日 本 民 謡 協 会 = 民謡・民舞秋田県連合大会 (中央大会の予選)
・ 日 本 郷 土 民 謡 協 会 = 民謡・民舞秋田地区大会(中央大会の予選)
・ 秋田県民謡同好会連合会 = 民謡グループ対抗歌合戦
・ 秋田市民謡連盟・県南民謡連盟・本荘由利民謡連盟 がそれぞれ主催する民謡大会があります。

秋田県民謡協会は,これらの各種民謡大会を大いに奨励すると共に,民謡が私達の生活環境になじみ,心にゆとりを持った地域の活性化に助勢し,今後は情報化時代の波にのり,全国的に秋田民謡を発信するネットワークを築き,若年層への理解浸透によって民謡界の底辺拡大を図ることが私たちに課せられた急務であると感じます。
以上
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